国際標準化活動

  国際標準化活動

PSLX標準仕様は、現在、ISOやIECといった国際規格として標準化が進められています。2006年12月に、IEC62264パート3が国際標準として認定され、その一部として、PSLX標準仕様が採用されています。

これまでの経緯

  • 2003年 4月 ISO TC184/SC5(韓国)にて提案、国際標準化活動開始
  • 2003年 6月 PSLX技術仕様書バージョン1の勧告
  • 2003年12月 PSLX技術仕様書バージョン1英語版公開
  • 2003年10月 TC184/SC5アドホック会議(ワシントン)
  • 2004年 5月 WBF会議(シカゴ)にてISA95のチュートリアルを受ける
  • 2004年 8月 ISA95(パディユー大学)出席、パート3のコメント提出
  • 2004年11月 JWG15(ワシントン)出席、PSLX提案を原稿候補にする
  • 2004年12月 ホワイトペーパー(英語版)公開
  • 2005年 1月 PSLX標準仕様をベースに原稿を投稿
  • 2005年 7月 JWG15(ストックホルム)PSLX投稿原稿を議論
  • 2005年11月 JWG15(ワシントン)PSLX原稿を議論、PSLX原稿が採択
  • 2006年 1月 JWG15(パリ)パート3の投票用ドラフト完成
  • 2006年 3月 IEC62264パート3がDIS(CDV)投票
  • 2006年 6月 JWG15(ジェノバ)パート5のNWIとPSLXコメント議論、パート4の議論
  • 2006年10月 JWG15(ヒューストン)にてパート3が承認、パート5の日本提案議論
  • 2006年12月 IEC委員会よりIEC62264パート3標準化決定の通知

  PSLXフォーラムが提案した国際標準

製造現場のオペレーションカテゴリ間のスケジューリング連携

IEC62264パート3の第5章(5.2.3節)において、製造現場のオペレーションカテゴリ間のスケジューリング連携の仕様を提案し採択されました。IEC62264パート3では、製造現場における生産管理、在庫管理、品質管理、そして設備保守の4つのカテゴリが定義されており、それぞれのカテゴリ内に、それぞれスケジューリングが存在しています。PSLXフォーラムであは、これらの個々のスケジューリング業務が、現実には密接に関係していることを指摘し、それぞれの業務間での関係を仕様として提案し、それが国際標準として採用されています。

計画とスケジューリングの階層関係

IEC62264パート3の第5章(5.5節)において、意思決定における計画とスケジューリングの概念的な関係を規定し、それが国際標準として採用されています。これは、PSLX技術仕様が提唱するAPS(先進的計画スケジューリング)の基本となる考え方であり、PSLX技術仕様のパート1「エンタープライズモデル」の5.2節(図5-1)で規定している内容です。計画は、要求をアイデアとして具体化し、スケジューリングは現実に対する実現手段を具体化します。この概念的な整理は、すでに海外の関係者からその有用性を高く評価されています。

生産における資源の定義と能力の考え方

生産に関する国際標準では、資源の定義の中に原材料や資材を含める場合と含めない場合があり、それによって資源能力の定義が異なります。IEC62264では、前者の立場をとっているため、それに応じて資源能力(キャパシティ)の定義を正しく行う必要がありました。PSLXフォーラムでは、資源能力に関する定義を、スケジューリングが扱えるように、消費型資源(原材料や資材)と非消費型資源(装置や人など)に分類し、それぞれの特徴を国際標準として規定しました。

生産計画スケジューリングのためのドメインオントロジ

IEC62264パート3のアネックスG(付属資料)に、PSLXオントロジが掲載されています。これは、生産計画や生産スケジューリングのためのオントロジ(基本的な語彙を用いた意味の定義)であり、PSLX標準仕様がベースとしてる概念です。現在、オントロジの重要性は世界的に議論されており、生産分野における意思決定のためのオントロジの候補としてPSLXオントロジが認められたことは、今後のインターネット社会における非常に大きなインパクトとなるでしょう。

日本型APSの定義と特徴

APSはもともと欧米で生まれた概念です。しかし、PSLXフォーラムでは、かつてより、日本的なものづくりの考え方をふんだんに取り入れた日本的APSを議論しPSLX標準仕様の中で組み込んでまいりました。今回、そこで議論されている日本型APSが、IEC62264パート3のアネックスH(付属資料)に採録され、全世界に配布されることになりました。